ON THE ROAD
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その歴史は三千年以上!急激な進化をたどったタイヤの歴史とは?

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もうすぐ冬本番。わたしたちは季節に合わせて何気なくタイヤを交換していますが、スタッドレスタイヤが日本で販売され始めたのは約40年前のことです。振り返ってみると、空気入りのタイヤが一般的になったのは意外にもたった100年前のこと。いまは当たり前のタイヤも、実は、急激な進化を遂げているのです。今回は、そんなタイヤの歴史についてご紹介します。

車輪の誕生

Old wheel sheet bar mill on Mining and metallurgical plant

タイヤの起源は、紀元前三千年頃にまでさかのぼります。チグリス=ユーフラテス河口域(現在のイラク)のシュメール人は物を運ぶためにソリの下に「車輪」を付けました。車輪といっても、木の板を丸くつぎ合わせ、中心部分に心棒を付けて外周を動物の皮で覆うといった簡素な作りでしたが、ソリをそのまま滑らせるよりもはるかに摩擦を軽減でき、輸送能力は急激に向上したそうです。

車輪はその後もスポーク(中心部分から外側の輪に向かって放射状に出る棒)を取り入れるなど、さまざまな進化を重ねながら約三千年もの間使われました。 また、ローマ時代には木製車輪の外側に鉄の輪を焼き嵌めるという画期的な手法が編み出され、「鉄のタイヤ」が登場。強度が格段に上がり、それから1900年近く鉄のタイヤの時代が続きました。 ちなみに日本では、奈良時代には物資運搬用の人力車で、また平安時代の牛車で、木製の車輪が使われていたそうです。凸凹のある道では、さぞかし乗り心地が悪かったことでしょうね。

ゴムタイヤの誕生

Vintage model black bicycle on old wooden table.

1835年には、より快適に車両を走らせるためにゴム製のタイヤが誕生。最初は鉄の車輪の周りにゴムの輪を付けただけの「ソリッドタイヤ」と呼ばれるものでした。しかし当時のゴムは生ゴムだったため、とても耐久性があるとは言えなかったようです。 このタイヤは1886年にドイツの自動車メーカー、ダイムラー・ベンツによって作られた世界初のガソリン自動車や、第一次大戦の軍用車にも使われており、最高速度は時速30㎞程度、長時間走ると熱でゴムが焼けて煙が出たのだそうです。世界初のガソリン自動車は、現在も愛知県のトヨタ博物館でレプリカが見られますよ。

空気入りタイヤの誕生

tire-history-4

そしてついに、1845年R.W.トムソンによって「空気入りタイヤ」が初めて発明されました。空気が入ることで乗り心地がよくなるだけでなく、走行抵抗や騒音の低減にも成功しましたが、実用化されるのはそれから約40年も後になります。1888年にJ.B.ダンロップが息子の自転車用に使ったことから世に広がり、ミシュラン兄弟によって初めて自動車に空気入りタイヤが取り入れられました。ミシュラン兄弟は1895年にこのタイヤで自動車レースに出場し、パンクの多発でリタイアとなってしまったものの、途中には優勝者の平均速度の約2倍にあたる時速61㎞ものスピードをたたき出したため、翌年のレースではほとんどの出場者が空気入りタイヤを使ったのだそうです。1900年代には、ほとんどの車がこのタイヤを装着するようになりました。

こうして空気入りタイヤが広がってからも、強度向上のためのカーボンブラックや、排水や滑り止めのための溝を採用するなど、タイヤはさまざまな改良を重ねながら現在に至ります。今後ますますクルマが高性能化するにつれて、タイヤにもさらなる進化が期待できそうです。約五千年という長い歴史のその先を、この目で見られるのが楽しみですね。

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