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テストドライバーがアドバイス!雪道を安全にドライブするコツ

雪道運転
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雪道での運転は、何かと不安がつきまとうもの。スタッドレスタイヤを履いてさえいれば、いつも通りに運転してOK!…というわけではありません。乾いた路面とまったく異なるコンディションですから、当然運転時の注意点も変わります。そこで今回は、開発中のスタッドレスタイヤを氷雪路で実車実験している、いわば「雪道のプロ」といえるテストドライバーに、雪道を安全に運転する実践的なテクニックを教えてもらいました。

ドライブするうえでの雪道の特徴を知ろう!

テストドライバーに語ってもらう前に、まずは、そもそも雪道は通常の道路と比べてどのような特徴があるのかをおさらいしましょう。大きな特徴は「視界」と「滑りやすさ」です。

雪による視程障害に注意しよう

雪が原因となる場合に限らず、周りが見えにくくなることを「視程障害」と呼びます。吹雪のときはもちろん、雪がやんでいるときにも降り積もった雪の白さに反射した太陽光の影響などで、雪道では視程障害が起きやすいのです。特に突風や追い越しなどによってそれまで良好だった視界が一瞬で真っ白く遮られてしまう「ホワイトアウト現象」は、事故の要因にもなりかねません。主なシチュエーションとしては以下のような例があります。

  • 気温が低く風が強いとき(ドライバーの目線の高さを超えた地吹雪が発生しやすい)
  • 路肩の雪山が高くなっているとき(それほど風が強くなくても雪山から吹き出す雪で視界不良になりやすい)
  • 大型車による追い越し時(雪煙が巻き上げられるてホワイトアウト現象が発生しやすい)
  • 雪をさえぎるものがない平坦な地形、急な気候変化が多い峠区間や急峻地形、雪が道路に吹き込みやすい切土区間や盛土との境の区間(突風などによるホワイトアウト現象が発生しやすい)

滑りやすい雪道ではスタッドレスタイヤが必須!

もうひとつの特徴は滑りやすさ。雪道は乾燥路に比べて摩擦係数が低くなり、大変滑りやすくなります。日本自動車タイヤ協会の試験によれば、雪が踏み固められたうえにタイヤで磨かれたすべりやすい凍結路面では、乾燥した路面と比べて、摩擦係数は10分の1に、制動距離は10倍にも伸びてしまうという結果が出ています。しかもこのデータはスタッドレスタイヤでの話。

JAFによる別の試験では、スタッドレスタイヤとノーマルタイヤとで圧雪路と氷盤路での制動距離を計測したところ、圧雪路では約1.7倍、氷盤路では約1.3倍もノーマルタイヤのほうが制動距離が長くなっています。安全のために雪道ドライブではスタッドレスタイヤを必ず装着しましょう。

雪道を走る前に準備しておきたいもの

スタッドレスタイヤといえどもチェーン規制のある道路は走行できません。タイヤチェーンも欠かさずに用意しておきましょう。そのほか、ウオッシャー液を寒冷地用のものへ交換して凍結を防いだり、バッテリー上がり時に用いるブースターケーブル、防寒具として毛布なども用意しておくといいでしょう。

雪道での急ブレーキは「ブレーキロック」の原因に

雪道に限らず安全運転には急ブレーキや急ハンドルなど「急」のつく行動は避けるべきですが、雪道ドライブではるに注意が必要です。ブレーキの利きが悪くなるため焦って急ブレーキを踏むと、ブレーキロックが発生しタイヤが操作できなくなり不安定な状態に陥ります。

それを防ぐためにも、ブレーキを細かく踏む「ポンピングブレーキ」でゆるやかに停車させましょう。また、車間距離をふだんよりも長く取り、カーブ前の減速も早めに行いましょう。

雪道走行時に起こりやすいトラブル

走行中や発進時のスタック

雪にはまってタイヤが空転してしまい動けなくなってしまう状態が「スタック」です。走行中のスリップや、ブレーキの利きが悪く積雪の中にタイヤがはまってしまったときには、タイヤの前後の雪を少しずつ固めるように、車を前後に振り子のように繰り返し動かして、反動を大きくして脱出します。どうしても反動では出られない場合は、駆動輪の下に砂利をまいたり、毛布を敷いて滑り止めにします。

バッテリー上がり

バッテリーは内部でバッテリー液(希硫酸)が化学反応を起こして電気を生み出しますが、気温が下がると化学反応の速度が遅くなりバッテリー性能が落ちてしまい、バッテリー上がりを起こしやすくなります。バッテリーが寒さに弱いといわれるのは、このためです。シーズン前にバッテリー液の補充や、電圧測定を行うなど、バッテリー状態のチェックをしておきましょう。

走る前に確認しよう!テストドライバーが実践する、積雪路や凍結路における運転の「トリセツ」

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おさらい事項を押さえたら、続いてはテストドライバー自身が、降雪時や凍結路を走る際に行っている雪道運転の「トリセツ」をご紹介。ドライバーであれば「頭ではわかっている」レベルの基本的なことかもしれませんが、だからこそ、忘れてしまいがちなのです!

雪道を走る前に、ちょっと思い出すべきチェックポイントとして、以下の3点を挙げてもらいました。

チェックポイント1:降雪初めは低速でABSの動作確認を

降雪初めや路面の状態がおかしいと感じたら、低速(30km/h程度)の減速時にブレーキを少し強めに踏んでABSの作動を確認します。

そして、停止状態から発進する際にも前後左右に車や人がいない事を確認して、どの程度のアクセル操作でスリップするかを確認しましょう。

チェックポイント2:通常よりも車間距離を大きくとる

乾いた道を走行するときよりも、速度を落として車間距離を大きくとります。「数台前の車の動きや、信号・横断歩道、歩行者などに少しでも早く対応できるよう余裕を持って運転を」とテストドライバー。周りの交通状況にも十分注意を払いましょう。

チェックポイント3:車線変更は控えめに!

走行中の車線変更のほか、交差点での右左折、バス停でのバス追い越し、左折車回避などは、氷の轍(わだち)やセンターラインにとどまった雪があるため危険です。急な車線変更や、無理な追い越しは避けましょう。

いつもの場所に危険が満載!
テストドライバーが教える「スポット別・安全ドライブのコツ」

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雪道走行中、いつも通りに走ろうとしたら、思いがけずスピン! そんな経験はありませんか? ヒヤリとする前に「雪がたまる」スポットと「凍りやすい」スポット、そして、スポットごとに異なる、雪がたまる理由や凍りやすい理由とその対策テクニックをプロが解説!

交差点

停車時のタイヤロックや発進時のスリップ、車のエンジンによる熱などで、路面の雪や氷が溶けたり凍ったりを繰り返し、交差点はツルツルに磨かれた、アイスバーン状態になっています。また、轍ができているところもあり、テストドライバーは「轍を乗り越える際は特に慎重に」とコメント。進路変更はゆっくりと慎重に行いましょう。

カーブ

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カーブの走行では、車の自重によって外に向かおうとする力(遠心力)が働きます。交差点同様、カーブ手前の直進時にしっかり減速しましょう。またテストドライバーによると、「コーナーリング中のブレーキやアクセル操作はクルマが不安定に。特に、曲がりながらの急な加速や減速はできるだけ避けた方がよいでしょう」とのこと。一見表面が乾いた雪に見えても、その下にアイスバーンが隠れている、という場合もあるので要注意です。

坂道

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路面の滑りやすい雪道では、下りの坂道が要注意。ABSは「ブレーキを踏んでからの制動距離を短くする装置」と思いがちですが、「衝突しそうな状況での急ブレーキ時に、タイヤをロックさせず、緊急回避のハンドル操作を行うためのもの」と理解しておきましょう。テストドライバー「特にSUVやワンボックスのような重い車は、制動距離が長くなるんですよ」と注意を促します。路面がアイスバーン状態のときは、路肩の雪部分に片方のタイヤを乗せると停止距離が短くなる場合もあるそうです。

橋の上

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橋の上は、風を遮るものがない、「吹きさらし」状態のため、雪が積もっていなくても路面が凍結している可能性が大です。「橋はアイスバーン」だと思って、慎重に運転しましょう。

日陰

日の当たる場所は、比較的早く氷も溶けますが、日陰には氷が溶けずに残り、路面が凍っている可能性があります。日陰の続く道は、慎重な運転を心掛けましょう。

商店や駐車場出入口・歩道の横断

除雪の境目や、歩道の段差が凍っている場合があるので、歩行者などに気をつけて、斜めに、途中で止まらず横断した方が良いでしょう。ハンドルを大きく切った状態では抵抗が大きくなり、小さい段差でもスリップしてしまいます。

スタッドレスタイヤの空転回避に役立つ、テストドライバー直伝の2つのポイント&もし空転したときは…

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スタッドレスタイヤに替えたら、それだけで万全!……と過信は禁物。タイヤが空転してスリップ!とならないようにするための2つのポイントを教えてもらいました。

スタッドレスタイヤは4輪に装着を

「スタッドレスタイヤには替えたけど、駆動輪だけ」という人も多いようですが、実は駆動輪だけでは意味がありません(…!!!)。スタッドレスタイヤを駆動輪の2本にしか装着しない場合、夏用タイヤ装着時とあまり変わらない、という性能評価がされています(出典:JATMA「冬の安全ドライブ事前注意報」)。安全のため、スタッドレスタイヤは必ず全車輪に装着しましょう。

アクセルはゆっくり、慌てずに

発進時のアクセルの踏み込みは、ゆっくりと慎重に。雪道や凍結路では、急発進でなくても、ローギア状態だとタイヤに駆動力がかかりすぎて空転してしまうことが。そんなときは、AT車であれば、クリープ現象を利用しても発進が可能です。MT車の2速発進と同じ要領ですね。アクセル操作はAT、MTともに、タイヤが少し動いてから操作するくらいの余裕を持ちましょう。テストドライバーは「アクセルを踏むのではなく、靴底を押す(靴の中で足指を動かす)イメージで、そっと行うとスムーズでベスト」と補足。

タイヤが空転したら……

タイヤが空転し、万が一止まれない!と思ったときは、クラクションを鳴らすなどして、まず周囲に知らせましょう。そうすることでダメージを軽減できる可能性がぐんと高まります。速度を落とす際にエンジンブレーキを使うときも、ブレーキに足を乗せてブレーキランプを点灯させ、後続車にサインを送りしましょう。また、アイスバーンの走行中は、直進状態でも車が浮いているような感覚があり、タイヤから聞こえる音も変化します。「大音量での音楽を控え、正しい姿勢で運転を。そうすることでこの2点に気づきやすくなります。」とテストドライバーはアドバイス。

緊急時には体がこわばってしまい、ハンドルによる回避もままならず、ブレーキを踏むのが精一杯だと思います。目と体の感覚で「おかしい、あれっ」と思ったら、周りに注意して、少し速度を落とし「凍っているかもしれない」「滑るかもしれない」「止まれないかもしれない」「信号が変わるかもしれない」「前の車が減速するかもしれない」と、「○○かもしれない」と思いながら運転してみることが、事故予防につながります。

また自身だけでなく、後続車が止まれない!ということもあります。バックミラーで後続車のスピードや車間距離、ドライバーの表情を確認することで、もらい事故の防止にもなりますので、前方と同じく後方にも注意するように習慣付けすると良いでしょう。

スタッドレスタイヤが滑りを防ぐメカニズムを知っておくと、歩行時も転びにくく!?

最後に、豆知識をもう一つ。歩行者も凍った道で足を滑らせて転ぶことがありますが、これは凍った路面と靴底の間に氷が溶けた水の膜ができるから。靴底がその水の膜を排水できずに、滑ってしまうためです。自動車のタイヤのスリップも同じ原理で、積雪路や凍結路では、路面の氷(固体)が溶けて水(液体)になるため、タイヤはグリップ力を失い滑りやすくなります。

雨の場合は、タイヤの溝が排水してくれ、固い地面とタイヤとのグリップがすぐ復活しますが、氷は車重がかかって圧力を受けると表面が溶けるので、次々と氷が溶けて断続的に水の膜が発生。そのため、スタッドレスタイヤは路面と接地する部分のゴム自体に水を取り除く機能と、固い氷をひっかく機能とを持ち、雪や氷の上でも滑らずに走行できるようになっているのです。

2月〜3月は、まだまだ寒い日も多く、都市部でも路面が凍結することも。スタッドレスタイヤを履いた上で、上記のポイントを運転時にはお忘れなく!

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