ON THE ROAD
TOYO TIRES

2015年版カレンダー企画:空と道の写真を撮る写真家HABUさんにインタビュー(前編)

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TOYO TIRES 2015年度カレンダー『ON THE ROAD 旅は自由 空に夢 道には希望。』は、空と道をメインテーマとして作成しました。カレンダーの写真は、空の風景をテーマに長年撮影を行っている写真家のHABUさんにご提供いただきました。今回はHABUさんに、なぜ写真家を目指したのか、ご提供いただいた写真への思い出等をお聞きしました。インタビューではいろいろなお話を伺いましたので、前編・後編と分けて掲載いたします。

 

TOYO TIRE株式会社(旧:東洋ゴム工業株式会社)広報部員(以下、広報):今年、カレンダーの企画をするに当たって、過去の作品は当社のブランドカラーの青い写真をずっと出してきていたんですが、何か軸になるものが欲しいなと考え、青いものを撮り続けておられる写真家の方ということで、道と空を撮られているHABUさんをご紹介いただきました。

 われわれタイヤメーカーとして、道というのは本当になくてはならないものです。HABUさんの写真を拝見させていただくと、単なる道なんだけれど、すごく意味があるような、道と空から感じることがいろいろあって、2015年版企業カレンダーの写真をお願いすることになりました。

 

HABUさん(以下、HABU):なるほど、この言葉(カレンダータイトル『ON THE ROAD 旅は自由空に夢道には希望。』)がぴったりですね。

広報:そうですね。この言葉が本当にぴったりだったと思うんです。 

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 HABU:(企業カレンダーに採用した写真を撮ったのは)僕の写真では道がかなり多いので、道だけの写真集を作ろうと思っていたときでした。写真を選んでいるうちに「空へ続く道」というタイトルが浮かんで、それがコンセプトになって、写真集ができたんですね。

基本的には写真は想像力を広げるものなんだと思ってます。空を見て、今日はどうだなとか、あの雲は何とかに見えるなとか思うだけで、自分は気持ちがよくなるんですね。そういうことを意識しながら、言葉も選びますね。無理やりに押しつけてもいけないし。より想像しやすい方向に持っていくというんですかね、そういうふうに心がけています。

 

広報:空を撮られていて、空の魅力は何ですか。

HABU:空は誰の上にでもあって、それで手つかずの大自然じゃないですか。元のまんま。それで二度と同じものはなくて、無限に被写体としては存在するわけで、光の状況でも色が変わったり、曇りは曇りの日でそれなりに面白かったり、飛行機雲があったり。とにかく撮っていて飽きないですね。追っかけていて。ただ、1回撮ってしまうと、その辺でちょっと行ったぐらいだったら空の景色は変わらないので、かなりの距離を走るんですよ。次の変わった空を見つけるために。そうすると、道と空ばかりを見ているので、道の写真が自然と多くなってしまうんですよね。だいたい車でずっと運転しながら気になる雲を見つけて、組み合わせるものを探しながら運転して、見つけたら、それと空を組み合わせて撮る。何も見つからなかったら道と組み合わせる。そういうパターンが多いですね。

 

広報:企業カレンダーに使わせていただいた12枚の写真の中で、印象に残っているお写真とか、エピソードがあれば教えていただけますか。

HABU:思い出深いのは、みんな思い出深いな。

 

【1月】

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HABU:これは94年に夫婦で放浪していたときの写真ですね。このときは、1年ぐらいオーストラリアを放浪していたんです。写真家になろうと思って、日本に帰ってきたんですが、一向に芽が出ないで、それでアルバイトをしたり、(日本とオーストラリアを)行ったり来たりを繰り返していたんです。その間に結婚もしました。

ただ、どうしても写真家としてやっていきたいと思って、一切持ち物を全て売っぱらって、夫婦でオーストラリアに行って、できるものなら永住権を取ろうというつもりで向こうへ行きました。結局いろいろやったんですが、どこかへ就職したりしないと永住権はもらえないんですよね。それでは意味がないので、車を買って、テントを積んで、10カ月ぐらい冬になるまで。本当にあてのない旅で、行く町、行く町のキャラバンパークというキャンプ場にテントを張って、いい景色があったらそこに何日もいるし、良くなかったらすぐどこかへ移動して、クイーンズランドといってグレート・バリア・リーフのほうから、グルッと西オーストラリアのパースの先まで行きましたね。

 先のことは全然分からないんですが、毎日目の前に現れる風景に、毎日わくわくしながら旅をしていましたね。帰ってくるときが逆にものすごいヘビーな気分で、帰って本当に食えるようになるのかという、それは大変でしたけれどね。

 

広報:家財を売っぱらって、放浪の旅に出てまでカメラマンになりたいという、その情熱はどこから出てきたんですか。

HABU:たぶん結婚して3年目ぐらいで行ったんです。結婚した年だと思うんですが、91年ぐらいに日本写真家協会(JPS)という団体がありまして、そこのコンテストに応募して1点だけ入選したんです。見に行ったら、300点ぐらいプロから入選作品からいろいろな人の作品が展示してあるんです。自分の写真が一番よく見えたんです。きっと自分が撮っている写真のことを信じられるというか、自分の写真は絶対ほかの人とは違うという、何かそういう自分なりの物差しみたいなものがあって、だから自分の好きな写真を集めて、それで写真展をやって、人が見に来てくれて、いろいろな感想を言ってくれて、あるいは感動してくれて、それをずっとやっていたくなった。

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あと、売れなかった頃にサンシャイン(池袋、サンシャインシティ)の展望台でよく写真展をやっていたんですよ。サンシャインの展望台にギャラリーを作ってくれまして、そこで4回ぐらいやったかな、4年ぐらい。展望台に来たお客さんが僕の写真を見て、感想を書いたりしてくれるんですが、例えば「ここから飛び降りようと思って来ましたけれどやめました」というのを見たんですね(笑)。あとは本当に小さな子どもが「癒やされました」と書いてくれたりとか。空って、子どもから年寄りまでみんな共通にあこがれを持っていて、何か、ちょっと空を見上げるだけで元気になるのかな。と思うようになりました。

 そういうことがだんだん自分の信念になってきました。実際にホームページなんかで空の写真をアップすると、どんどんフォローしてくれる人が多くて、こんなに世の中に空の好きな人っているんだと実感しています。

僕が写真を始めた当時というのは、空という被写体はあまりにも偶然性が強すぎるので、コンテストなんかに応募しても、まず通らなかったんです。「もうちょっと自分の技術を見せられる被写体を撮りなさい」と言われたことがあります。その頃はそういう感じだったんですが、今はものすごい空の写真って、ネット上にあふれていませんか。

広報:そうですね。

HABU:だからやっぱりそれだけ、空の伝道者じゃないですけれど、みんなに言い続けてきたのが、やっと最近すごく一般的になって、今の時代みたいにみんなスマホで簡単に撮れるようになって、それをメールでやりとりして。そういう時代になったんだなと、そう思いますね。

 

インタビュー前編、いかがでしたでしょうか?人気のある写真家として活躍するHABUさんも、大変な苦労をなさっていたようです。後編は主にカレンダーにご提供いただいた写真についての思い出を語っていますので、ぜひご覧ください!

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写真家・HABU プロフィール

羽部 恒雄(はぶつねお)

1955年東京生まれ。10年間のサラリーマン生活を経て写真家に転身。「空の風景」をテーマに世界各地を撮影、写真集・雑誌・写真展などで数多くの作品を発表している。代表作に「空の色」「雲を追いかけて」「夢にむかって」「空を巡る旅」(倍インターナショナル)、「誰の上にも空はある」(講談社)、「空のとびら」「雲の回廊」(PHP研究所)などがある。

<新刊>

「空は僕を誰とも比べない」2014年7月23日発売(PHP研究所)

<写真展>

開催期間:2015年4月4日~5月24日

開催場所:調布市たづくりホール               

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