特集1.顧客ニーズにスピーディに応える製品開発と供給体制

1.顧客ニーズにスピーディに応える製品開発と供給体制

北米市場で大型タイヤの需要が増加

近年、米国の自動車販売においては、ピックアップトラックのような大型車やSUV/CUVへと需要がシフトしてきています。安定した経済情勢や低水準の燃料価格といった環境に加え、広大な国土で長距離を走るクルマ文化が根づいていることなどがこの動向につながっていると考えられます。
クルマに対する価値観は国や地域、またユーザーによって異なり、さらにその価値観にもとづいて性能・デザインへの要求や満足のレベルも異なります。

東洋ゴムグループは、北米市場において、ピックアップトラックやSUV/CUVのユーザーのタイヤに対するニーズを的確に捉え、独自のタイヤ設計基盤技術、シミュレーション技術およびタイヤ製造工法により、それらを具現化した独創的な製品をスピーディに供給する体制を構築しています。

アグレッシブデザイン技術の革新

アグレッシブデザイン技術の革新

ユーザーにとってデザインは重要性能の一つです。特に米国のピックアップトラックやSUV/CUVセグメントにおいては、自由度の高いカスタマイズ(インチアップやリフトアップ)と共に、デザインのアグレッシブさ・ユニークさは重要な選択要素です。
ユニバーサルデザインが主流のなか、「個性重視」のユーザーをターゲットとした商品開発を進めるには、数値評価が困難なデザインの FAVORABILITY(好ましさ)について、評価基準が必要となります。

当社では、最初に3C分析のフレームワークを用いて、商品開発ごとに評価基準(イメージコラージュやイメージワード等のデザインコンセプト)を設定します。この基準に基づいてデザイン開発を進め、米国のマーケティング担当者から提供される市場情報およびトレンド情報を織り込みながらブラッシュアップを重ねることで、顧客のニーズを叶えるデザイン創出が可能となります。
しかし、こうして創出されたデザインは、意匠性が高い反面、独特の形状のためにタイヤ性能(耐摩耗、静粛性など)との両立が困難となる場合があります。
パターン設計工程では、そのデザインを採用したタイヤをコンピュータ上で製作し、様々な解析手法と独自のシミュレーション技術を駆使して、挙動や接地状態を確認しながら開発・性能予測を繰り返します。こうして、意匠性を損なうことなく、十分なタイヤ性能を発揮できるトレッドパターンとして完成度を高めます。
この総合技術力と社内の連携した取り組みの融合である「アグレッシブデザイン技術」を強化し、さらに高い次元で顧客ニーズの実現をめざします。

  • Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の視点でのマーケティング環境の分析

パターン設計シミュレーション

パターン設計シミュレーション

精度と品質、ユニークなデザインを実現する「A.T.O.M.」工法

大型サイズのタイヤに求められる高い精度と品質、ユニークなデザインを併せ持った製品の製造を可能にしたのが当社独自のタイヤ製造工法「A.T.O.M.(Advanced Tire Operation Module)」です。2005年にToyo Tire North America Manufacturing Inc.(TNA)に採用して以降、改良を加えながら世界展開しています。
「A.T.O.M.」では、回転する成型ドラムの上に細いリボン状のゴムを押し出して巻き取り、円柱のトレッドを直接形成します。平たい板状のゴムを円柱状にして端を重ねて貼り合わせる従来工法と比べ、重量が偏るような大きな貼り合わせ部が発生しないため、大型になるほど調整が難しかったタイヤの均一性が飛躍的に向上しました。これにより、タイヤ寿命や操縦安定性の低下につながる偏摩耗の発生を低減しています。
加えて、「A.T.O.M.」はタイヤのサイド側の厚みを調整できるため、サイドにアグレッシブなデザインを施したタイヤの製造が可能になり、当社が強みとするユニークなデザインの創出と実現につながりました。

A.T.O.M.の成形ドラム(左)とA.T.O.M.で製作したサイドデザイン(右)

A.T.O.M.の成形ドラム(左)とA.T.O.M.で製作したサイドデザイン(右)

顧客ニーズに応える供給体制

上空からのTNA(上)とTNAのスタッフ(下)上空からのTNA(上)とTNAのスタッフ(下)

「A.T.O.M.」を採用したTNAは、初の海外自社工場として2005年から稼働し、北米市場における旺盛な需要に対応するため、これまで4回にわたって生産能力を増強し、 2016年末には年産1,150万本(乗用車用タイヤ換算)の供給体制を整えたことで、当社グループで最大規模のタイヤ製造工場となりました。
この間、ISO9001、ISO/TS16949、ISO14001の認証取得を通じて、品質マネジメントシステムおよび環境マネジメントシステムを整備し、品質・顧客満足の向上と環境に配慮した事業運営に取り組んできました。
また、2016年末現在の従業員数は、2004年の設立当初の10倍超に増え、こうした地域の雇用創出や自動車関連産業の持続的成長への貢献が評価され、2009年、2016年にジョージア州より表彰を受けました。
当社グループでは、今後、北米市場のニーズをダイレクトかつよりきめ細やかにくみ取り、現地でのスピーディな商品化を実現するため、TNAのR&D部門の商品開発機能と人員を充実させ、日本の技術開発拠点との連携も強化します。

今後も顧客の期待や満足を超える感動や驚きを生み出し、豊かな社会づくりに貢献していきます。

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