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特集2.「ナノバランステクノロジー」の進化による高性能なタイヤ開発の実現

2.「ナノバランステクノロジー」の進化による高性能なタイヤ開発の実現

世界で最も厳しい欧州のタイヤ規制に独自の技術力で対応

タイヤの転がり抵抗とウェットグリップ性能の関係タイヤの転がり抵抗とウェットグリップ性能の関係

気候変動リスクの高まり、新興国を中心とした人口増加と経済成長によるモビリティの需要拡大等を背景に、世界各国・地域で自動車の燃費の向上やCO2排出量の削減を促進するための制度や規制が導入されています。

それに伴い、タイヤが自動車の燃費の改善に果たす役割も重要になってきています。走行時にタイヤと路面の間に生じる摩擦(転がり抵抗)を小さくすることでタイヤはよく転がり、同量の燃料でより長距離を走ることが可能になります。すなわち燃費は良くなりますが、反面、摩擦が小さくなれば一般的にタイヤの止まる力(グリップ力)は低下し、濡れた路面ではより大きな影響を受けます。低燃費タイヤの開発においては、転がり抵抗を低減させることと同時に高いウェットグリップを確保することが不可欠といえます。

日本では、2010年から業界自主基準により、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能をグレーディングシステム(等級制度)に基づいて表示する「ラベリング制度」を運用し、両性能が一定以上の等級に該当するタイヤを「低燃費タイヤ」として、普及促進を図っています。
欧州では、2012年からEU内で販売される乗用車用タイヤに、転がり抵抗性能・ウェットグリップ性能・騒音性能の表示を法令によって義務づけ、厳しい運用を行っています。さらに、2018年には、これらの性能が一定レベル以下のタイヤは、EU向けには生産できなくなります。

当社では、最も要求性能が高い欧州市場で評価されるハイパフォーマンス製品の開発に挑戦することで、継続的に技術力を強化しています。それらの製品をグローバルに展開することで、各国・地域での自動車の環境対応にも貢献していきます。

日本のラベリング制度による表示(左)とEUラベリング制度による表示

日本のラベリング制度による表示(左)とEUラベリング制度による表示

技術革新で進化した「ナノバランステクノロジー」

当社では、2011年に確立したゴム材料開発基盤技術「Nano Balance Technology(ナノバランステクノジー)」、2000年に確立したタイヤ解析とクルマの動きの解析を融合させたシミュレーション技術「T-mode」に代表される独自のタイヤ設計基盤技術の革新に取り組んでいます。

2016年には、「ナノバランステクノロジー」を進化させ、より高性能なタイヤ開発が可能となる技術革新を図りました。「ナノバランステクノロジー」は、ゴム材料を分子レベルで観察(ナノ分析)、予測(ナノ解析)、機能創造(ナノ素材設計)、精密制御(ナノ加工)することにより、求められるタイヤ性能を導き出す理想的なゴム材料を高精度に開発することを可能にします。この技術を用いて、当社の低燃費タイヤのフラッグシップブランドであるNANOENERGYシリーズをはじめ、他の乗用車用タイヤや商用車用タイヤの低燃費化を推し進めてきました。

今回、「ナノ分析」の進化によって、ゴム内部の構造や変形挙動をより精密に観察し、タイヤの転動時にゴムが路面と接する状態やエネルギーロスが発生する状況などの情報を取得できるようになりました。また、「ナノ解析」の進化によって、実際のゴム配合に近い材料構造のシミュレーションモデルを構築し、転がり抵抗/グリップ性能の定量化を可能にしました。
これらをもとに、高性能な「ナノ素材設計」を行い、精密に制御された「ナノ加工」によって、より高性能・高品質なタイヤづくりが実現できます。

500μmの突起を捉えたときのゴム内部の動きを画像処理したもの。動きが大きいほど赤色や黄色が濃く見えます。

路面の凹凸を捉えたゴム内部の動きを観察する技術(ナノ分析)

ゴム材料内部の精緻な構造シミュレーションモデルを構築し、業界で初めて、シミュレーションモデルから転がり抵抗とグリップ性能を定量化し、グラフ化する技術を確立しました。

シミュレーションモデルによるゴム粘弾性の定量評価技術

転がり抵抗とウェットグリップを高い次元で両立

2017年に欧州、および日本で販売を開始した「PROXES Sport」は、進化した「ナノバランステクノロジー」によって実用化した新配合ゴムを採用し、転がり抵抗性能と高いレベルでのウェットグリップ性能の両立を実現したプレミアムスポーツタイヤです。

路面との接地部分にかかる圧力を解析し、その圧力を均一に分散することによって、当社従来品(PROXES T1Sport)比でウェットグリップ性能を7%向上(制動距離を短縮)し、日本のラベリング制度におけるウェットグリップ性能の最高グレード「a」を全サイズで達成しました。また、転がり抵抗性能についても従来品比で23%低減しているほか、ドライ/ウェット操縦安定性、乗り心地、耐摩耗など、ワンランク上のスポーツタイヤとして求められる性能もそれぞれ向上し、高い次元でバランスさせています。

タイヤラベリング制度における性能比較

ウェットグリップ性能(制動距離)7%短縮 試験場所:当社タイヤ試験場 車輌:GOLF6 駆動方式:FF タイヤサイズ:225/50ZR17 98Y XL リムサイズ:17×7.0J 空気圧:フロント230kPa/リア230kPa(車両指定空気圧) 乗員:2名 初速度:100→0km/h 路面種類:ウェットアスファルト 水深:約1mm 制動停止距離(平均):PROXES Sport(47.9m)PROXES T1 Sport(51.5m)・このテストに関する詳細なデータは、タイヤ公正取引協議会に届けています。・このテストの結果は同様な条件下であっても、必ずしも同じ結果が得られるとは限りません。

転がり抵抗性能(抵抗係数)23%低減サイズ:225/50ZR17 98Y 空気圧:230kPa 試験荷重:600kgf リム:17×7.0JJ 速度:80km/h 試験方法:ISO28580による転がり抵抗試験法(フォース式) 試験装置:当社室内ドラム式転がり抵抗試験機

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