製品を通じた環境・社会への貢献

タイヤ技術

東洋ゴムグループは独自の研究開発技術で、高性能・高品質のタイヤ開発に取り組んでいます。
また、次世代タイヤ技術の構築に向け、環境負荷低減・性能向上・新システム確立のため、大学や公共研究機関との連携を強化し、構造設計・材料設計・解析技術・製造技術の研究開発に取り組んでいます。

当社グループの独自技術

  • Nano Balance Technology
    材料設計基盤技術。ナノレベルの「分析・解析・素材設計・加工」4つの体系を統合し技術開発を行うことにより、到達すべき水準に向けた最適化を図ります。
  • T-mode
    タイヤの挙動と構造を解析する一般的なタイヤシミュレーションと、クルマの動きを解析するドライビングシミュレーションとを融合することにより、クルマの種類と使い方に合せたタイヤ設計を可能にします。
  • e-balance
    耐摩耗・耐偏摩耗・燃費性・耐久性能といった、タイヤにとって重要な基本性能の向上を実現するトラック・バス用タイヤの基盤技術です。
  • A.T.O.M.(Advanced Tire Operation Module)
    大型サイズのタイヤに求められる高い精度と品質、ユニークなデザインを併せ持った製品の製造を可能にします。

タイヤ開発フロー図

タイヤ開発フロー図

精度と品質、ユニークなデザインを実現する「A.T.O.M.」工法

2005年に米州のToyo Tire North America Manufacturing Inc.(TNA)に採用して以降、改良を加えながら世界展開しています。
2017年現在、国内では仙台工場、海外ではTNA、マレーシアのToyo Tyre Malaysia Sdn Bhd(TTM)、および中国のToyo Tyre Zhangjiagang Co.,Ltd.(TTZ)に導入しています。

「A.T.O.M.」では、回転する成型ドラムの上に細いリボン状のゴムを押し出して巻き取り、円柱のトレッドを直接形成します。平たい板状のゴムを円柱状にして端を重ねて貼り合わせる従来工法と比べ、重量が偏るような大きな貼り合わせ部が発生しないため、大型になるほど調整が難しかったタイヤの均一性が飛躍的に向上しました。これにより走行時の振動が低減し、乗心地性能が向上します。
加えて、「A.T.O.M.」はタイヤのサイド側の厚みを調整できるため、サイドにアグレッシブなデザインを施したタイヤの製造が可能になり、当社が強みとするユニークなデザインの創出と実現につながりました。

A.T.O.M.の成形ドラム(左)とA.T.O.M.で製作したサイドデザイン(右)

A.T.O.M.の成形ドラム(左)とA.T.O.M.で製作したサイドデザイン(右)

アグレッシブデザイン技術の革新

ユーザーにとってデザインは重要性能の一つです。特に米国のピックアップトラックやSUV/CUVセグメントにおいては、自由度の高いカスタマイズ(インチアップやリフトアップ)と共に、デザインのアグレッシブさ・ユニークさは重要な選択要素です。
ユニバーサルデザインが主流のなか、「個性重視」のユーザーをターゲットとした商品開発を進めるには、数値評価が困難なデザインの FAVORABILITY(好ましさ)について、評価基準が必要となります。

当社では、最初に3C分析のフレームワークを用いて、商品開発ごとに評価基準(イメージコラージュやイメージワード等のデザインコンセプト)を設定します。この基準に基づいてデザイン開発を進め、米国のマーケティング担当者から提供される市場情報およびトレンド情報を織り込みながらブラッシュアップを重ねることで、顧客のニーズを叶えるデザイン創出が可能となります。
しかし、こうして創出されたデザインは、意匠性が高い反面、独特の形状のためにタイヤ性能(耐摩耗、静粛性など)との両立が困難となる場合があります。
パターン設計工程では、そのデザインを採用したタイヤをコンピュータ上でモデル化し、タイヤ解析に特化した、独自のシミュレーション技術を駆使して、挙動や接地状態を確認しながら開発・性能予測を繰り返します。こうして、意匠性を損なうことなく、十分なタイヤ性能を発揮できるトレッドパターンとして完成度を高めます。
この総合技術力と社内の連携した取り組みの融合である「アグレッシブデザイン技術」を強化し、さらに高い次元で顧客ニーズの実現をめざします。

  • Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の視点でのマーケティング環境の分析

パターン設計シミュレーション

パターン設計シミュレーション

利便性と安全性のニーズに応える商品の提案(米国)

米国の降雪がほとんどない地域では、オールシーズンタイヤが主流です。そのような地域のお客さまにとって、ごく短期間の降雪のために夏タイヤと冬タイヤの両方を所有し、季節に応じて使い分けることは、経済面や保管スペースの確保などの点で難しいと考えられているからです。一方、オールシーズンタイヤには、積雪や路面凍結の状態によっては滑りやすくなったり、不慣れなチェーンの着脱作業が発生したりするなど安全面の課題もありました。米国のタイヤ販売会社Toyo Tire U.S.A. Corp.では、そのような地域のお客さま向けに、夏タイヤ・冬タイヤ両方の性能を備えたオールウェザータイヤ「CELSIUS」を発売し、好評を得ています。接地面内側に冬用タイヤとしての機能を持ったデザインを、外側にオールシーズンタイヤとしての機能を持ったデザインを採用することで、3PMSマークの要件を満たす氷雪路での走行性能と、冬用タイヤよりも優れた摩耗性能を実現しています。

3PMS(Three Peak Mountain Snowflake)マーク

  • 3PMS(Three Peak Mountain Snowflake)マーク:消費者が高いスノートラクション性能を持つタイヤを識別するために作られたマーク。一定の性能評価試験をクリアしたタイヤを示します。

オールウェザータイヤ「CELSIUS」

オールウェザータイヤ「CELSIUS」

TOPIC
エアレスタイヤ「noair(ノアイア)」を発表

EV(電気自動車)や自動運転技術、カーシェアリングの普及など、モビリティ社会のパラダイムシフトは、自動車用タイヤのメンテナンス機会を少なくしていくと予想されます。
当社グループは2006年から“メンテナンスフリーの追求” と “スペアレスソリューションの具現化”に向け、エアレスタイヤの研究と技術開発に取り組んできました。そして、2017年9月、業界に先駆け、乗用車装着での高速走行が可能なレベルへ到達した空気のいらない新しいタイヤ「noair(ノアイア)」の技術発表を行いました。
noairはパンクの心配がなくスペアタイヤを搭載する必要がないので、車の重量が軽減され、燃費の向上にもつながります。また、特殊樹脂によるX字型スポークや、Nano Balance Technologyによって開発された低燃費トレッドゴムなどの独自技術によって、従来のタイヤに比較して転がり抵抗値が低減しました。

エアレスタイヤ「noair(ノアイア)」

車両装着時のノアイア
※車両は株式会社FOMMの電気自動車「FOMM1.0」

タイヤ性能の向上

気候変動リスクや異常気象リスクの高まりを背景として、それらリスクを緩和あるいは適応するため、低燃費性、耐摩耗性、そして濡れた路面での制動性(ウェットブレーキ性能)など、タイヤ性能の向上が求められています。当社グループでは独自技術である「Nano Balance Technology(ナノバランステクノロジー)」を核とした研究開発を続けています。
その結果、2017年度市場投入を果たしたタイヤは、従来品よりも、燃費性能、摩耗性能、ウェット性能等が向上しています。

製品およびサービスのエネルギー消費量の削減について、詳細はこちらをご参考ください。

転がり抵抗とウェットグリップを高い次元で両立

2017年に欧州、および日本で販売を開始した「PROXES Sport」は、進化した「ナノバランステクノロジー」によって実用化した新配合ゴムを採用し、転がり抵抗性能と高いレベルでのウェットグリップ性能の両立を実現したプレミアムスポーツタイヤです。

路面との接地部分にかかる圧力を解析し、その圧力を均一に分散することによって、当社従来品(PROXES T1Sport)比でウェットグリップ性能を7%向上(制動距離を短縮)し、日本のラベリング制度におけるウェットグリップ性能の最高グレード「a」を全サイズで達成しました。また、転がり抵抗性能についても従来品比で23%低減しているほか、ドライ/ウェット操縦安定性、乗り心地、耐摩耗など、ワンランク上のスポーツタイヤとして求められる性能もそれぞれ向上し、高い次元でバランスさせています。

【タイヤラベリング制度における性能比較】

タイヤラベリング制度における性能比較

TOPIC
タイヤ3商品が「2017年度グッドデザイン賞」を受賞

2017年度に発売した当社製タイヤ新商品3種が「グッドデザイン賞」を受賞しました。今回の受賞により、当社製タイヤは7年連続の受賞となりました。
今回、受賞したのは、当社TOYO TIRESブランドより、2017年3月に発売したSUV(多目的スポーツ車)用タイヤの新商品「OPEN COUNTRY A/T plus」、2017年8月に新発売したハイト系SUV・ミニバン車両用スタッドレスタイヤ「Winter TRANPATH TX」、NITTOブランドより、2017年2月に発売した優れた低燃費性能を持つSUV用タイヤ「NT421Q」の3商品です。また、NITTOブランドタイヤが同賞を受賞したのは今回が初めてとなります。

2017年度グッドデザイン賞受賞商品(左からOPEN COUNTRY A/T plus、Winter TRANPATH TX、NT421Q)

  1. OPEN COUNTRY A/T plus
    低燃費性と耐摩耗性を実現するともに、国際基準ECE R117-2をクリアした高い静粛性とトラクション性を高い次元で両立
  2. Winter TRANPATH TX
    操縦安定性とアイス制動性能を訴求
  3. NT421Q
    タイヤラベリング制度における転がり抵抗性能「A」/ウェットグリップ性能「b」を取得

TOPIC
トラック・バス用タイヤの飛躍的な低燃費化を実現する開発プロセスを確立

社会的インフラともいえる運輸機関においては、環境規制への対応、運輸効率性の向上といった課題に対処が求められており、こうした運送車両に使用されるトラック・バス用タイヤの耐摩耗性能の充足と低燃費性能をさらに向上させることが、その解決の糸口の一つとして期待されています。
そうした社会的要請に応える「高性能トラック・バス用タイヤ」をめざし、Nano Balance Technologyを用いて、高い耐摩耗性能を維持しながら大幅な低燃費化を実現する新たな開発プロセスを確立しました。
新たな「ナノ加工」技術のアプローチにより、均一かつ高度に分散された理想的なフィラーの状態の確保が可能となり、天然ゴムを使用したコンパウンドにおいて、耐摩耗性能を維持しながら、従来に比べてエネルギーロス(tanδ)を約20%抑制できるゴム配合技術の開発に成功しました。
2018年内をめどに新しいトラック・バス用タイヤの開発と生産に向けて実用化していく予定です。

※ tanδ:ゴムのような粘弾性体に正弦波を与えた時の損失弾性率を貯蔵弾性率で除した値

フィラーの粒子分散状態(左:従来プロセス/右:新プロセス)

開発を進めているTTMの研究棟

自動車部品技術

グローバルでの自動車販売先の多様化に対応するため、自動車用防振ゴム部品については、従来の耐熱性を重視した製品に加え、耐寒性、高耐久性を兼ね備えた製品の開発を進めています。
先行技術開発においては高性能化、軽量化を軸に開発を進めており、次世代車両への適用を目指しています。また解析技術においては、実車性能と台上評価との相関を求めるなど、解析精度を高めることにより、最適設計(軽量化、コストダウン)に取り組んでいます。

TOPIC
GLM社とEV足回りモジュールの共同開発に着手

EV車両の開発が加速度的に進んでおり、各自動車メーカーからも量産化計画が矢継ぎ早に打ち出されています。当社グループは今後のモビリティ社会の要請に応えていくため、EV(電気自動車)メーカーのGLM株式会社とEV車両向け足回りモジュール(複合部品)の共同開発に取り組むことに合意し、これに着手しました。
両社が開発を進める主要部品は「フラットライド※1を実現するエア式のアクティブサスペンション※2」で、2020年中にその製品化をめざします。
GLM社とのEV向け製品モジュールの共同開発は、未来モビリティにおける深化と進化の可能性を拡げるに資するものと展望しており、当社は、GLM社との協業によってEVが持つ固有の技術課題解決に特化した足回りモジュールのトータル設計やパッケージ化の経験を積むことで、付加価値の高い提案のできるサプライヤーをめざします。

※1 フラットライド:道路状況に合わせ、自動車の各種緩衝装置を自動制御して揺れや振動を緩和して実現する滑らかな乗り心地
※2 アクティブサスペンション:自動車の揺れを電子制御するサスペンション

当社の商用車向けエア式アクティブサスペンション(左)とGML社製スポーツEV「トミーカイラZZ」

CSRの取り組み